小さい病院より大きい病院が人気になる理由について

大きい病院では連日のように外来は予約で一杯であることが多く、患者より待ち時間が長いなどのクレームを受けることも多い。

もちろん患者が多いことは病院収益にはいいことであるが、勤務医には患者が増えることによるインセンティブはない。一方、個人病院/クリニックの場合には開業医が経営者でもあるので、患者増加によるインセンティブは高い。

このように考えると個人病院/クリニックに行く方が、患者側としても医師から丁重に扱われる可能性はある(医療従事者の性格の影響は大きい)。また個人病院/クリニックの方が予約数も大きい病院よりは少ないこともあり(多かったとしても調整がしやすい)、個人病院・患者いずれにとってもwin-winの関係となるだろう。

しかし、実際には個人病院/クリニックより大きい病院を好む患者も多い。精密検査などは大きい病院でしかできないこともあるが、そもそもヘルスチェックなどの医療サービスを希望する場合にはそのような精密検査も不要である。

なぜ、大きい病院が人気となりやすいのか。僕自身であれば、個人病院(もしくは受診をそもそもをしない)を選択するだろう。この問いに対する答えの前に、このような問いを考えるきっかけについて触れる。

先日、西野亮廣さんの革命のファンファーレという本を読んだ。内容としてはお金と信用の関係について戦略的に書いてあり、今後時代において信用を獲得/使用することが重要であることを述べているように感じた。この本の内容は医療の在り方と非常に重なるところがあると思える。

問いに戻るが、大きい病院が人気である理由はこの信用の獲得にほかならない。患者側すると大きいの方がしっかりと診てくれる、しっかりと検査してくれる、このようなイメージがあるため大きい病院は好まれる。決して個人病院/クリニックがしっかりと診ていないわけではない(実際はわからないが、おそらくはそうだろう)。イメージ戦略が大きい病院への優位性を高めているのである。

ことイメージ戦略においては美容業界において顕著である。有名であるということが信用の拡大につながるため、有名な病院はより有名になりやすくなる。

さて問いに対する答え自体は大したことではないが、今回の投稿で述べたいことはその次のあり方である。

先ほど信用が高いために大きい病院が好まれるということを述べたが、この信用の背景にあるのは何だろうか?おそらく患者側としてはしっかりとした知識量や経験が豊富な病院の方がしっかり見てくれるということが信用の背景にあると考えられるが、この意味においては個人病院/クリニックの方が、おそらく信用度は高くなる。というのも個人病院/クリニックの開業する医師は大体において経験年数の多い医師であることが多く、大きい病院では年数が浅い医師から経験を積んだ医師まで様々であるからだ。

それにもかかわらず患者側としては大きい病院を好むのはイメージ戦略が個人病院/クリニックでできていないことが問題なのだろう。ホームページや広告の看板を出しているが、どれもある種ありきたりの戦略のため差別化が困難であり、どれも違いがわからないのであれば大きい病院の方がいいだろうというのが落ちである。

データとして受診理由などは公表されていないため、この答えは僕の推測・妄想でしかないのだが、何となく理屈は通る気がしている。

そして、今後はAIの台頭が顕著となり、知識量ではAIには勝てなくなるだろう。知識の面ではAIに勝てないようになると経験値がAIとの差別化となるが、経験値をイメージ戦略に反映できるのであれば、その時点でおそらくその個人病院/クリニックは人気となっているだろう。

つまり、現状でイメージ戦略が立てられない個人病院/クリニックはAIに代替される可能性はある。AIが医師に代わるというより、AIを駆使し、イメージ戦略を立てれる医師が今の個人病院/クリニックに代替していくような未来を妄想している。そうなった際には医療のあり方が全く異なるようになっているかもしれない。その上でイメージ戦略で信用さえ提供できるのであれば、医師という仕事自体も少なくできるかもしれない。

西野さんの本からこのような考察に至った。今後も本を通じた考えについても述べていく予定である。

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